第5回 言葉の障害に直面する eDiscovery(電子証拠開示) PART II

2009年5月29日

海外のドキュメントを扱う上で、技術的な問題以上に厄介な問題が新たに起こりつつある。
訴訟を妨げるものは、何も国境や言語の問題だけではない。
連邦民事訴訟規則26[Federal Rule of Civil Procedure(FRCP) Rule26]の改正で、入手可能なデータとそうでないものとが区別されたが、裁判所は、外国語の文書が本質的に入手不可能なものという訳ではないと判断してきた。

2006年に改正FRCP規則26が施行されると、企業の海外の部署は、訴訟のために突然、文書を凍結することが命じられるようになった。また、他方では、EUやアジアの国々において、プライバシー法による国外へのデータ移動の制限(*)、データ収集及び解析実施前に個人に合意文書の提出要請などの事態が起きている。

EUと米国は"Safe harbor"合意[注1] をしており、EU外に個人データを移動する際には、その業務下において適切な個人情報保護を行っていることを、商務省に証明しなくてはならない。しかし、すべての米国eDiscoveryベンダーにSafe harbor認定がなされている訳ではない。

また、ほとんどの米国弁護士は、何テラものデータを米国内に持ち込み処理を行うことより海外で行うことを選ぶ方が、その後起こり得る不注意による情報漏えいを防ぐには最も良い方法だと考えている。

連邦法の修正はeDiscoveryをより厄介なものにしている。弁護士はそのeDiscovery計画をドキュメントにし、弁護しなければならない。例えば、もし300ギガデータを25ギガまでに減らしたならば、どのように行われたか説明しなければならず、外国語のドキュメントも同様だ。

外国語のDiscoveryを扱うことは、確かに難しい問題だ。非常に高額な翻訳コストがかかってしまう。理想を言えば、弁護士はバイリンガルの閲覧チームを使い、ドキュメントを英語に翻訳したいのだが、たいてい容量が多く、コストが掛かり過ぎるため機械翻訳になってしまう。Discovery専門家は「セカンドレベルでの閲覧には、特にネイティブスピーカーが必要」と語っている。
外国語のeDiscoveryでは、ソフトウエアの能力云々よりも、データ収集がどうなっているのか知るために、その言語での知識と経験が重要になってくる。

今のところ、eDiscoveryでのメジャープレイヤーは米国基盤であり、グローバルゲームに興味があるところはわずかだ。米国のDiscovery専門家の一人は「あまり地元競合相手はいない。なぜなら、訴訟が多く、広範囲なDiscoveryがあり、また政府が広く権限を持つ米国のような司法システムを持つ国は他にないからだ。」と語っている。

他言語でのDiscoveryは色々な問題があるが、多くの弁護士やべンダーにとってはチャンスだ。米国企業はますます国際的に展開するだろう、そしてますます国際訴訟に巻き込まれるだろう。


[注1] "Safe harbor"合意 :
ヨーロッパ連合 (EU) から米国への個人情報の移動に関する米国とEC連合間の規定(適切な個人情報保護を実施せず、EU諸国からEU諸国外へ個人情報を移動することを禁止している)


(August 4, 2008)

「ロー.コム」の記事より

※日本ではまだ国外へのデータ移動の制限がなく、ほとんどのデータを国外に出しているのが現状である。UBICを使うと国内で全て対応可能であるが、まだ多くの日本企業自身が 「データを国外に出さない。」 という主張を、欧州や日本以外のアジアの国々のように態度として示していない。



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