米国訴訟・本当のリスク(E-ディスカバリ)
ビジネスのグローバル化に伴う、国際訴訟の増加
訴訟に対して、日本人が抱いているイメージは、まだまだ身近とはいえません。まして、海外での訴訟ともなると、なかなか当事者意識を持てないという企業も多いでしょう。しかし、日本企業を対象にした国際訴訟は、近年、その数が増大しており、いまや対岸の火事では、すまされなくなっているのが現状です。
その背景には、グローバル化によるビジネスの国際化があります。現在、多くの日本企業が、世界各国にそのビジネスの足場を広げています。それに伴い、訴訟にも変化が生じています。グローバル化によって、訴訟そのものも国際化し、ひとつの訴訟システムの中に包括されるようになりました。その一例が、SOX法です。
SOX法は、もともとアメリカで制定された法律ですが、今や世界中の先進国において、これに準じた法律が施行されています。日本の場合は、J-SOXがそれに当たります。
世界の中でも特に証券市場が発達した国では、その透明性を積極的に推進する動きにあります。SOX法の遵守は、それを支援するものとして受け入れられ、これにあわせて民事訴訟を含む訴訟システムも国際化へと変化しています。
海外で訴訟が起こった場合、その後もその国でビジネスを展開していくためには、現地の訴訟システムに従わざるを得ません。その意味で、グローバルビジネスを展開する日本企業にとっては、好き嫌いに関わらず、海外各国の訴訟システムに対応していかざるを得ない時代となりました。
eDiscoveryの明文化による電子情報開示の強制
米国の民事訴訟においては、原告と被告が、内部情報も含めて、訴訟に関連した証拠の全面的な開示を相手に要求できる「ディスカバリー制度」といわれる情報開示義務があります。なかでも電子データの開示を「eDiscovery(電子情報開示)」といい、昨今、日本企業が米国で訴えられた際に対応に苦慮するケースが増えています。

米国は2006年12月に連邦民事訴訟制度(FRCP)の訴訟規則を改正し、eDiscoveryに関する手続きを明文化しました。これにより、米国でビジネスを展開する日本企業が訴訟を起こされれば、日本の本社やデータセンターなどにある電子情報もすべて証拠として開示対象になります。
こうした背景から、コンピュータやサーバに保存した電子情報を対象にしたeDisoveryの重要性は急速に高まっています。証拠を持っているのに隠しているとみなされると制裁の対象になるため、いかなる機密情報であろうとも、証拠となる電子情報であれば、提出を拒否することはできなくなりました。米国で事業を展開する日本企業は、知っておかなければならない制度です。
しかし、膨大な量の電子情報の中から、証拠となるデータだけを過不足なく取り出すのは大変な作業です。また、抽出作業が不十分だとその後の証拠調べに手間を要して、さらに弁護士費用がかさみます。一方で、必要でない情報まで出してしまうと機密情報を訴訟相手に漏らすことにもなります。
また、提出の遅延や精度は訴訟結果に影響することもあります。企業は、社員のPCやサーバ、ストレージに保存された電子文書やメール、サーバ履歴など、該当するすべての電子情報を、迅速、かつ的確に証拠データとして法廷提出しなければなりません。そのため、関連する電子情報のフォレンジック的取得・保全・精査が不可避となってきているのです 。
米国にはこうした抽出作業を請け負う専門業者がありますが、日本語データの扱いに慣れていない場合も多く、注意が必要です。同時に、結果として重要な電子情報を海外に持ち出すことになり、その安全性に対する不安も拭いきれません。
UBICは、日本で唯一のディスカバリー専門ベンダーとして、経験豊富な調査士と世界トップレベルの精度の高いフォレンジック技術をもとに、「国際訴訟支援サービス」をご提供しています。
用語解説:Discovery制度
訴訟においては、その証拠となる相手側の情報開示を義務づける制度があります。日本の訴訟制度では、「文書開示命令」があり、証拠となる情報資料のなかで、特定の文書を指定し、強制的にそれを開示させることができます。
しかし、正確な文書名を指定する必要があるため、文書名が曖昧だったり、誤差があった場合、命令を受けた相手は、指定名との食い違いを理由に提出を拒否することも可能です。日本の訴訟で、個人が大企業に勝てない理由は、ここにあります。
一方、アメリカの場合は、個人が企業に対して訴訟を起こしたした場合でも、証拠文書の開示を命じれば、関係する部署や人、コンピュータやサーバなどに残されている情報のすべてを自主的に提出しなければならない制度があります。これが、Discovery制度です。
この制度は絶対的なもので、その適用においては、故意かそうでないかに関わらず、証拠となる情報の提出を怠った時点で制裁を受け、敗訴する大きな要因にもなります。








